君たちはどう生きるか

こんにちは。あやはなです。


宮﨑ぱやお監督最新作「君たちはどう生きるか」観てきました。

基本的には観て良かったなと思いましたが、なかなか評価の難しい映画です。

以下、ネタバレを含む個人的な感想です。

これからご覧になるご予定の方はお気をつけください。

絵の下から。

 








この作品は宮崎ぱやお監督の集大成。

そして遺言であり自伝的映画です。


ですが稀代の名手を以ってしても、

誰もが楽しめるエンタテイメントには昇華し切れなかったという印象でした。

難解なテーマゆえに所々ストーリーが綻び、

状況を言葉で補足するような説明的なセリフが目立ちます。

とても夏休みに親子で楽しんで鑑賞する映画ではありません。


自伝でありながらファンタジー映画という体裁のために、

ぱやお監督の人生において育まれた複雑な心理があまりにも抽象的に表現されていて、

実際にぱやお監督の生い立ちや人となりを知らない方には、

何を言いたいのかさらに分かり辛くなっています。

逆にぱやお監督自身にご興味がお有りの方には、

大御所がここまで自分をさらけ出そうとする姿勢に心を打たれるかも知れません。


個人的には主人公アオサギ大叔父も、

すべて監督自身の姿なのかなとも思いました。

監督の様々な思いが様々な登場人物に投影されているようです。

自分の羽の矢に射られ惨めに飛べなくなってしまうアオサギの姿も、

彼の得た名声によって自由な表現を失ってしまった自身であり、

(二人三脚で歩んできた鈴木プロデューサーって感じがしないでもないですが)

主人公が疎開先でいじめられ自傷するシーンも、戦時中周りが苦労している中、

恵まれた環境で過ごしていた自分に対する嘲笑にも見えます。

そして病弱ゆえに生前あまり交流がなかった母への想い。

これが一番強いテーマな気がします。


終盤に出て来る異世界を支配する大叔父が持つ世界の積木

きっと数に意味があるんだと数えてましたが、

「ここに13の積み木がある」とわざわざ言ってました。

おそらくぱやお監督が主に携わった13の作品の事だと思いますが、

「ここに君が積み木を足して欲しい」と血縁者である主人公に頼みます。


このエピソードからして、

おそらく監督自身が一番この作品のメッセージを伝えたい相手は、

息子である宮崎吾朗さんである事が分かります。

(広義に捉えれば、ぱやお監督のファンに向けてかもしれませんが)

その次にジブリに携わる人であり、同じような志を持ったクリエーターであり、

監督自身に興味を持つ人であり、最後にそれ以外の観衆となっていると感じます。

ゆえに普通に娯楽として映画を楽しみたい方には、ちょっと疎外感を感じる内容です。

何もクライマックスにその話を持って来なくてもと思いました。


盛り上がるのは宮崎吾朗さんだけで、

誰もが素直に享受出来るラストではありませんでした。

観客に対したメッセージであったならば、

もう少し違う表現方法があったのかなと思います。

もうちょっとお金を払って楽しみに観に来る人たちに対しての、

ぱやお監督からの最後のプレゼントがあっても良いのかなと思いました。


久石譲さんの音楽も夢の如く不可解なストーリーのために、

書きづらかったとは思いますが、残念ながら精彩を欠いていて全く印象に残りませんでした。

声優さんも抑揚のない演技で、鼻につくプロらしさとは逆に素人らしさが裏目に出た感じです。


色々と思う事がありますが、

この作品は宮崎吾朗さんになり切って、

親父の昔話や訓示をおとぎ話風に聴くというスタイルが、

一番理解しやすい鑑賞時の姿な気がします。

そしてうまく整理されていない、

イマジネーションだらけの天才映画監督の頭の中に飛び込める!

という点では、後世に残る素晴らしい作品でもあります。


君たちはどう生きるか ☆2.5



個人的には宮﨑ぱやお監督の最後の作品にしてしまうのは残念ですし、

数々の極上の娯楽作品を作って来られた方ですので、

最後に考察云々一切なし、掛け値なしの、

大人も子供も誰もが楽しめる極上のエンタテイメント作品を作って欲しいなと思います。


もうそれがダメなら、

芦田愛菜ちゃん鈴木福くん主演の実写版「天空の城ラピュタ」をNetflixに作って貰いましょう!

海賊のおばちゃんは黒柳てぴこさんで!


以上勝手な感想でした。

そういえば予告編でやっていた「窓際のトットちゃん」面白そうでした。



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